こんにちは、keityです。
今回は、「人事が考える若手社会人のキャリア観とその対策」という話題です。
日々、人事関連の課題を考えて生活している中、最近私に刺さった、CMがありました。
「モチベーションクラウド」のCMです。
役所広司さん演じる、おそらく会社の社長からの質問への社員の回答が言い得て妙です。本当に多くの会社で起こっていることでしょう。私も心当たりがあります・・・
退職者が増えていますという報告を受け、
役所さん「残業は?」→社員A「減らしました」
役所さん「副業は?」→社員B「認めました」
役所さん「飲み会は?」→社員C「やっています」
役所さん「打つ手なし!」
人事所属の社会人は、このCMは痛いほどよくわかるのではないでしょうか。
琴線に触れるCMです。さすがリンクアンドモチベーションさんですね。
ともあれ、組織における人材の課題も変わってきたよなというように感じています。
そこで、今回は私が採用業務で就活している学生や転職活動をしている社会人に触れていて感じていることを書いていきたいと考えています。
私が採用業務に接しているこの10年間において、10年間単位で振り返ると大きな変化を生んでいます。
終身雇用の終焉
日本における独特の雇用慣習である終身雇用の前提が本当に崩れてきたと感じます。
終身雇用が崩れたというより、求職者にとって、意味が薄れてきていて、意味がなくなってきていると感じます。
そもそも、会社は人の人生を一生保障することはできない存在です。
実はこんなことはわかりきっていることで、人の寿命よりも会社の寿命が短い、今も昔もこれは変わりがないことですが、終身雇用という甘い言葉に、私たちは錯覚させられていたのだと考えます。創業して50年、60年経過した会社が一体どのぐらいあるのでしょうか。
人生100年時代到来とうたっていますが、働く期間も長くなっていくと予想されます。その器になって耐えうる会社はどれほどあるでしょうか。
このようなことを理解している若手社会人(20代~30代)は、そうそうに会社に頼ることをやめています。悪い意味でなく、良い意味を含めて、会社に期待していない。頼れるのは自分だけというマインドが強いと感じます。時代背景を踏まえると、それはある意味当然のことで、若手社会人はこれからの時代を会社に頼りっぱなしでなく、自分で生きていかなければなりません。
今後は、おおよそ20代から入社して、60歳~70歳まで同じ会社に勤務できるというのは、まれにみることなのだととらえた方が自然です。それは今までの60年~70年間ぐらいに生活していた日本の社会人が体験できた非常に良いものだと捉えていかないと、現在の20・30代の方は今後充実した社会人生活を送ることはできないと考えます。
会社は、そのような新しい価値観をもった社会人たちをどのようにマネジメントしていくかということがこれからますます会社に求められます。
転職は当たり前の時代の中で、どのように優秀な社員に長く勤務してもらうかということです。組織・人事関連の課題はこれに尽きると考えています。
若手社員のキャリア観の中心にあるもの
それでは、少し話を進めて、今の若手社会人の方は働くキャリア価値観はどういったものなのでしょうか。
採用場面では、当社は長く勤めることができますというのは、本当の意味では、今の20代には全く響いてません。むしろ自分がどれだけ成長できる環境が準備されているかの一点につきます。これは大手企業、中小企業問わず、「成長」というキーワードは非常に重要なものです。
個人は会社に依存することなく、会社という組織に属して、キャリアを積んで成長し、また次の成長を目指し、別の会社やプロジェクトに参加していくということが当然になります。
多くの方は、一つの会社に何十年も勤めるというよりは、複数の会社や副業、起業等様々な仕事に従事していくというのが今後の日本のスタンダードになります。現にそうなっているように感じることが日々多いです。
会社の業務においても、プロジェクト単位で、社内外の多数の協力者の力を借りて遂行します。自社の正社員で云々ではなく、このプロジェクトに最適なメンバーということになります。
ということで、「終身雇用の社員=正社員」という括りが今後、意味をなさなくなってきますので、20・30代の社会人の皆さんは、その流れを感じ取り、会社に依存することなく、生きていける社会人スキル・経験を身に付けることに努力をしているわけです。
転職という手段も自分自身を成長させる手段としているので、これを止めるのは至難の業です。
若手社員が辞めていく時代に、どのように対策するのか
若手社員が退職者が増加しているという問題に対して、会社によって様々な対策があるとは思いますが、私が考えるのは、一番多くの社員に影響を与えるのは、何よりも「仕事そのもの」だと考えています。
会社という組織は、何か事を成すために、会社を作った方が効率的で利益が出て、より良いサービスを提供していくことができるということで作られます。すると、そこに集まってくる人は、その組織の中でこのような仕事をする・できる・したいから集まってきていると解釈できます。
つまりは、「仕事」に対して集まってきていると考えられるわけです。であれば、一番の動機づけは「仕事」であるのが通常です。
「従事している仕事が楽しい」
これがそもそもの原点だと考えます。仕事が楽しく、自分が成長できている感覚を持っていれば社員はやめることは少なくなります。
そして、特に「仕事が楽しい、自分が成長できると感じる」場面は、今までにできていないことにチャレンジしてできるようになっているときです。
その機会を、適切なタイミングで会社が社員に提供できるかが、重要になります。
さらに、私は仕事が重要な要素だと考えていますが、ほかにも退職するときには重要なファクターがあります。
まとめると、社員は以下の3点のバランスが崩れると退職していきます。
- 仕事内容
- 人間関係
- 報酬(労務に対する)
これにつきます。人によって、この項目の優先順位があるということだけです。ただ、個人的には、仕事内容は重要かなと思うわけです。
会社としては、この要素にまつわる制度をバランスを見ながらく根気強く改善を繰り返していくしかありません。
人事によって、改善できる部分もあれば、そうでない部分もあります。人事マターの人事制度、労務管理、福利厚生等は優先順をつけて取り組むことができます。仕事そのものについては、事業本部マターであったりしますが、そのプロジェクトや新しい仕事にどのようにアサインするかは人事も参画できる部分でもあります。
まとめ
人事責任者としては、「打つ手なし!」とは言えません。
しかし、あっという間にすべてが解決する方法もありません。また、一度改善したからと言ってそれで終了というわけでもありません。
しつこく改善を繰り返すしかないのだと感じています。
「人事が考える若手社会人のキャリア観とその対策」という話題でした。
以上です。
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