こんにちは、keityです。
今回は、「財務諸表の読み方!30秒で会社の安全性と好不調が判断できる方法」という話題です。
この時期となると、各社7-9月期の決算短信が発表されます。
お客様、協力先、競合先等の短信を見る方も多いことだろうと思います。
今までも当ブログでは財務諸表の読み方は書いてきました。


基本的な分析方法は、以前に書いた通りなのですが、じっくり分析するための時間をとって、決算短信を読むことができない方が多いのではと予想します。
そこで今回は最低限この数字を押さえておけば、
・ビジネス上の取引を継続しても大丈夫
・この会社の調子が良い、悪い
を判断できるような、簡単な財務分析の方法をご紹介します。
慣れてくれば、30秒で調子良い・悪いは判断できると考えています。
結論なんなんだということは社会人にとって重要です。
素早く結論にたどりつくような分析です。
決算短信とは
まずは、あまり知識がない方向けに、念のため、決算短信の定義をまとめておきます。
”決算短信(けっさんたんしん)とは、株式を証券取引所に上場している企業が、証券取引所の適時開示ルールに則り決算発表時に作成・提出する、共通形式の決算速報である。”
”決算短信は、上場会社の貸借対照表・損益計算書をはじめとした決算情報が最も早く開示される資料であり、決算情報が投資判断上最も重要な会社情報の一つとされていることから、投資者・マスメディアからの注目度が高い。” Wikipediaより引用
決算短信は、期末後45日以内に開示することになっていて、
決算短信の主な入手先は、下記の通りです。
・企業のHP
・金融庁EDINET
財務分析の指標
財務分析指標には多くのものがありますが、代表的なものは下記になります。
これらの分析は、開示されている財務諸表があれば分析可能です。
収益性分析 | ROA(総資本利益率) | = 当期純利益 ÷ 総 資 産 |
ROE(自己資本利益率) | = 当期純利益 ÷ 自己資本 | |
売上高利益率 | = 当期純利益 ÷ 売 上 高 |
安全性分析 | 流動比率 | = 流動資産 ÷ 流動負債 |
当座比率 | = 当座資産 ÷ 流動負債 | |
自己資本比率 | = 自己資本 ÷ 総 資 本 |
資金繰り分析 | 売上債権回転期間 | = ( 売掛金 + 受取手形 ) ÷ ( 売上高 ÷ 12 ) |
その他分析 | フリーキャッシュフロー | =営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー |
PBR | = 株価 ÷ 一株当たりの純資産 | |
PER | = 株価 ÷ 一株あたり利益 |
30秒で会社の安全性と好不調を判断する方法
それでは、30秒で判断する方法です。
最低限の分析に絞ることで時間を短縮し、それでも本質的な分析を実現します。
使う指標は、前述した表で赤文字の3つの分析のみです。
<分析指標目安>
・自己資本率 40%以上
・流動比率 150%以上
・フリーキャッシュフロー プラス
あくまでも一般論的にはなりますが、上記の指標を満たしていれば、
短期(2~3年)で倒産する可能性は非常に低く、取引先等でも当面問題なく、
調子も悪くない会社だと判断することができます。
それでは、各項目を説明していきます。
自己資本比率とは
企業が調達した資本(貸借対照表の貸方側)のうち、主に株主からに出資である自己資本には返済義務がありませんが、銀行等からの借入金である他人資本(負債)には返済義務があります。
よって、自己資本比率が高い(総資本に占める自己資本の割合が多い)ほどその企業は返済不要の資本を元手に事業を行っているため経営が安定します。
また、株主からの資金調達である自己資本は業績が好調なときには株主に対して配当金を支払う必要がありますが、業績が悪くなったときには配当金の支払いを見送ったり、配当金の額を変更することができます。それに対して借入金は、業績が良くても悪くても関係なく元本の返済と利息の支払いを約定どおりに行う必要があります。
したがって、自己資本による資金調達は業績が良いときにはたくさんの配当で株主に還元する必要があるもののが、業績が悪化した際には配当を支払わないこともできることから安全弁として優れています。その代わり、業績が良い場合の資本コストは借入金より高くなります。
さらにここからが少し財務諸表を勉強していないと理解が難しいのですが、自己資本は株主からの拠出である拠出資本と、企業が事業活動から稼ぎ出して内部に蓄えている(会計学的には留保していると表現する)利益の内部留保とで構成されています。
自己資本が多いということは、過去の利益の蓄積が多いということも同時に示している場合が多いです。
したがって、自己資本比率が高いということは、その会社の競争力であったり、経営者の経営手腕、さらに前述のように財務基盤が安定している等々、いろいろな意味でのその会社の健全性を示しています。
最後に、自己資本比率の一般的な目安をあげておきます。
【自己資本比率の一般的な目安】 10%未満 財政基盤が脆弱 10~20%未満 10%未満の会社よりも安定しているが、それでも安泰とはいえない 20~40%未満 ごく一般的な水準 40%以上 安定していて、倒産事例が少ない 理想50%以上 |
流動比率とは
流動資産とは一年以内に現金化される資産で、流動負債とは一年以内に支払期限の到来する返済義務です。
流動資産が流動負債を上回っている、つまり流動比率が100%以上であるということは、短期的な支払能力が支払義務をまかなって余りあるということで、支払余力があると推測することができます。
逆に流動負債が流動資産が上回っている場合は、1年以内に現金化できる資産よりも1年以内に返済すべき負債のほうが多いため資金がショートする可能性があり、支払能力に問題があると推測できます。
最後に一般的な流動比率の目安です。
【一般的な流動比率の目安】
流動比率は、高ければ高いほど企業の支払能力が高いといえる。 理想200%以上 平均120~150% 100%を割っていると取引を行わない方が良い。 |
フリーキャッシュフローとは
フリーキャッシュフローとは、企業本来の営業活動により獲得したキャッシュフロー(営業キャッシュフロー)から、現事業維持のために投資にまわしたキャッシュフロー(投資キャッシュフロー)を差し引いたものです。
フリーキャッシュフローは、企業が事業活動から獲得したキャッシュのうち自由に使うことができるキャッシュを意味します。
つまり、フリーキャッシュフローは経営者の経営判断により自由に使途を決めることが可能な資金です。そのため、このフリーキャッシュフローは企業が戦略的な事業展開を行う際の元手となり、または借入金を返済して財務的健全性を高める場合のその返済原資にもなります。今後の経営に大きな影響を与える可能性がある指標です。
そして、フリーキャッシュフローで重要なのは、やはり営業キャッシュフローです。営業キャッシュフローは高ければ高いほど良いです。本業の営業活動でしっかりとキャッシュを生み出しているかどうか、これに勝る企業の好不調がわかる指標はありません。さらに、営業と投資の両方を加味したフリーキャッシュフローはバランスがとれた指標になります。
指標としては、「営業キャッシュフローがプラスであること」、こちらを押さえてください。
まとめ
「財務諸表の読み方!30秒で会社の安全性と好不調が判断できる方法」という話題でした。
社会人であれば、簡単な財務分析の基本は押さえておきたいところです。
また、就職活動をしている方も自身が受ける企業の簡易分析にもお役立てください。
ただし、あくまでも目安です。指標に当てはまらないからといって悪い企業であるとは限りません。その場合なぜその指標がそうなのかという原因を探るようにしてください。
以上です。
コメント